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株価暴落時に思い出す、『世紀の空売り』

米国株、2日連続下落

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株価は昨年10月水準まで下落
米国株の下落が止まりません。

2日連続3%代の下落で、とうとう昨年度10月末水準まで落ち込みました。

ただ、よくよく考えると、これは正しい水準に戻ったのではないかとも考えています。軽いバブル状態でしたね。

FRB国債の買い入れ額を増加させたのは2019年10月から。それが無ければここまで株価が上昇していたかは定かではありません。

アメリカは国に栄養剤を飲まされていたわけです。

栄養剤を飲んで頑張りすぎると、疲れが後からどっと来ますよね。

しかも疲れたところにコロナウィルスにまで感染してしまい、米国市場はひどい体調不良に陥ってしまいました。

体調不良の時は一休みが必要です。

これまで頑張ってもらった米国市場を、一度労わってあげて回復次第頑張ってもらえば良いのです。

住宅市場下落をテーマにした『世紀の空売り

株価の大暴落と聞くと、個人的には『世紀の空売り』を思い出します。

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『世紀の空売り』 映画化もされました

リーマンショックによる住宅市場大暴落の中で世間が阿鼻叫喚する中、経済破綻に賭け大儲けをした人々の姿が書かれています。

バブルだった住宅市場と、「証券化

リーマンショックは、それ以前のバブルと異なり、投資家だけではなく一般市民をも巻き込んだ大恐慌でした。

それは、不動産(住宅)という誰もが保有する資産価格が下落することで、誰もが損失を抱えることになったためです。

90年代半ばから、米国政府の金融緩和政策もあり、住宅価格は上昇し続けていました。

それによって、銀行やノンバンクは仮に貸し倒れが起きたとしても、住宅を担保に取ることで資産を回収できるという見込みを持ち、住宅ローンを貸し付ける層を広げていき、遂にはサブプライム層という通常であれば融資を実行しないハイリスクな層に対しても貸し付けを行うようになりました。

加えて、1970年代後半に金融業界で発明された、「住宅ローンの債権を投資銀行が購入し、それを証券化して投資家に販売する」すなわち証券化という技術により、投資銀行は銀行やノンバンクがサブプライム層に貸し付けた債権を買い取り投資家に大量に販売して手数料を得ていました。

更に(度が過ぎるやり方ですが)、その証券を第一次証券としてそれらの証券を集めた証券…というように、複雑な証券を作り出し売りまくるなど、マーケットはやりたい放題の状態でした。

『住宅市場が破綻するのに賭ける』

上記のような、住宅市場が上昇する相場の中で、破綻するのに賭け大儲けしたのが書籍の中の主人公たち数人です。

登場人物は異なれど、いずれも同じ手法で多額の資金を手に入れました。

それは、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)という、住宅ローン証券の利払いが不能になったときにその元本を保証する商品を買い込んだことです。

この商品は住宅ローン証券を保有しなくても誰でも保有することが出来るので、住宅市場の下落を想定していた人々にとって、格好の投資対象となっていきました。

実際に破綻して…

その後、皆さんがご存じの通り住宅市場は破綻、マーケットは崩壊しました。

住宅上昇を確信しローンを使ってまで家を買った人々は家を失い、回収できない債権を抱えた投資銀行は破綻し、証券化された証券を購入した投資家は大きく損失を出しました。

(例外として、投資銀行のゴールドマンサックスやドイツ銀行は、CDSを高い手数料で投資家に売却し、代わりに保険会社から安価な手数料でCDSを購入することで、自らは損失を出さず保険会社に支払いを転嫁し、自らは利ザヤで儲けるという手段を取ることで大儲けしていましたが)

バブルかの判断はその時出来ないが、暴落したことはバブルであることを示している

リーマンショックに限らず、バブルが起きている時にそれがバブルであると気づくことが出来る人は多くありません。

だからこそ、投資を行うときは周りに流されず、冷静沈着に行っていきたいですね。