最速で経済的自立?アメリカで流行るFIREについて考える
FIREとは
アメリカのミレニアム世代で流行する、『FIRE』という考え方があります。
FIRE自体は、英語では「クビになる」という意味を持っておりますが、決して自分でクビになることを意味しているわけではありません。
Financial Independence and Retire Early の頭文字を取ったもので、経済的に独立し、お金のために働く必要がない状態になることを示しています。
リタイアの概念を変える
日本を含め、世界で仕事をリタイアするというのは、定年まで働き続けることを意味しています。定年まで働くことで資金を貯蓄し、老後に備えるわけですね。
しかし、人生の中の貴重な時間の多くを費やしてまで働くことに意味があるのだろうか?と考えたのがミレニアム世代です。
彼らは、自分の時間を確保するために、なるべく早い段階で資産を確保し、アーリーリタイアすることを考えました。本書はミレニアム世代の一人である筆者がアーリーリタイアするための方法論をまとめたものです。
内容は実際に読んでみてもらうのが良いと思うのですが、一部面白かった箇所を抜粋してご紹介します。
早くリタイアするために必要な資金はいくら?
最近、金融庁が老後に必要な資産として『2,000万円』と話して話題になりました。
ただ、老後に必要な資金はそれぞれの生活水準によって異なるはずです。
そのため、我々はリタイアするにあたって必要な資金を予め計算し、それに沿って毎年必要な資金を準備する必要があります。
本書で書かれている、リタイア後の資金の計算方法をご紹介いたします。
今時点での、年間生活費を考える
FIREの考え方では、アーリーリタイアするためには今の生活水準を上げることなく日々を暮らしていくことが必要とされています。それは今の生活水準を基に必要資金を計算しているからです。
実際にやってみましょう。
2019年度にかかった費用をすべて計算します。食費や住宅費、保険料や移動費すべてを洗い出して今どれくらい使っているのかを計算するのです。
ここでは、年間にかかる費用を200万円としましょう。
かかる費用を全て株式の収益でまかなうには?
資産を貯金ではなく、投資をすることで元本を減らさずに安心して生きることが出来ます。
株式や不動産など、投資を行うことで年間に得られる収益率を7%だとしましょう。
その場合、年間にかかる費用200万円を投資の上がり益だけで賄うには、
200万円÷7%=2,857万円が必要だと分かります。
実際に必要な金額を計算すると…
上記の2,857万円は、株式投資の上がり益を全て生活費に用いることを仮定していますが、これは条件が厳しすぎますよね。例えば
・少しの贅沢も出来ない
・急な出費に対応できない
ということが想定されます。
そこで、投資の収益率よりも、元本に占める生活費を下げることを考えてみましょう。
ここでは、元本に占める生活費を4%置いてみます。そうすれば、
投資の収益率7%>元本に占める生活費4% となるので、元本から生活費を崩しても残りの3%で元本を増やし続けることが出来ます。
その場合の必要な金額は、
200万円÷4%=5,000万円です。これが、アーリーリタイアするために必要な資金です。
5,000万円貯めるのは難しい?
5,000万円というと、果てしない数字に見えますよね。
アーリーリタイアするとして、毎月貯金だけで必要な金額を見てみましょう。
15年でリタイアするとしても、月28万円の貯蓄…普通に考えれば実現可能な数字には見えませんね…
ただ、ここで貯金するのではなく、投資することを考えましょう。株式の収益率を7%として考えれば、複利の効果で元本が年数とともに大きくなります。『FIRE』の筆者が作成した計算式を基に必要な金額を求めると下記の通りです。
先ほどの表と比較してみてください。例えばリタイアまで20年頑張るとして、貯金だけだと月21万円必要なのが、投資すれば月10万円と半分で済みます。これは驚きですね。
株式投資でなくても、SP500などに投資する投資信託でも同様の収益率が狙えます。実現不可能な数字では無くなりました。
その他にもいろいろ参考になった
上記の、将来に必要な資産額を計算するほかにも、色々実践しようと思うことがありました。
・毎日5ドルを積み立てる(毎月の積立とは別に)
⇒毎日積み立てることで月間150ドル(≒15,000円)を貯蓄できます。月の後半で厳しくなれば積み立てを辞めればOKなので気楽ですね。
・毎月、貯蓄率を1%ずつ上げる
⇒一気に10%上げたりすると辛くなるものですが、気づかない程度に上げていけば痛みを感じることは少ないですね。
上記以外にも、収入の増やし方や株式投資、不動産のやり方、副業のやり方など、アーリーリタイアを実現するための様々な方法が記載されていましたので、一度読んでみるのはいかがでしょうか?
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