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【au Pay10億円還元】QRコード決済業者の潰し合いに見え隠れするもの

auで行われている『10億円キャンペーン』。
開始早々店舗に行列が並ぶくらいの大盛況のようです。
一方で、個人的には過去のキャンペーン結果を見てきていることから事業としてのキャンペーン効果には疑問を抱いております。過去のキャンペーン結果(PayPayとLINE Pay)を振り返りながら、今後のau Payの動きを予想してみましょう。

還元キャンペーンは凄まじいが…

2020年2月10日より、auがauPayで還元キャンペーンを実施しております。
www.au.com
『毎週10億円還元』するとのことですが、週の間に10億円の還元が終わり次第その週のキャンペーンは終了とのこと。
早速、2月10日週のキャンペーンは2月11日に終了するそうですね。

今回のキャンペーンは、2018年末にPayPayが行った100億円還元キャンペーンと同様で、還元金額の上限が非常に高く(期間中に70,000円分のポイント)、買い占め目的で購入するユーザーが後を絶たないようです。


PayPayやLINE Payは、還元キャンペーンで一気にユーザーを増やした

auPayよりも前に、PayPayやLINE Payで還元キャンペーンを実施していたことは記憶に新しいと思います。確かに、還元キャンペーンによって両者は大きくユーザー数を増やしました。データを基に振り返っていきます。

PayPay

還元キャンペーンの走りといえばPayPayです。宮川大輔が踊るCMは記憶に新しいでしょう。
PayPayはプレスリリースで登録者数の推移を出しています。

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PayPayの登録ユーザー数。https://about.paypay.ne.jp/pr/20191118/02/参照

最初の還元キャンペーンによって、短期間で300万人以上の登録者を獲得しています。
その後、PayPayは第二弾キャンペーンとして還元上限金額を設けたキャンペーンを3か月ほど実施したことで、第一弾で獲得したユーザーの離脱を防止し、拡大を続けています。
これを見ると、今回のauPayのキャンペーンはPayPayキャンペーンの第一弾と第二弾の良かったところ(還元額を大きく、期間を長く)を合わせたようにも見えますね。

LINE Pay

LINE Payで記憶に新しいのが『300億円還元祭』です。突如送られてきた1,000円分のLINE Payボーナスに驚いた方も多いのではないでしょうか。
linepay.line.me

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LINE Pay 国内MAU数。決算資料https://scdn.line-apps.com/stf/linecorp/ja/ir/all/FY19Q2_earnings_release_072402JP.pdfより参照
PayPay同様、キャンペーンによって多くのユーザーを獲得できたのが分かりますね。

キャンペーン後の離脱と、赤字決算

PayPayにしてもLINE Payにしても、ユーザー側目線としては、大変ありがたいキャンペーンの連続でしたが、事業としては現状上手くいっていないといって良いでしょう。

赤字決算のPayPay

kanpo-kanpo.blog.jp
売上金5億円に対して純損失が367億円というとんでもない数字が出ました。還元キャンペーンによってユーザーを拡大することを優先していたために、利益が上がらなかった模様です。

一気にユーザーが離脱したLINE Pay

2019年5月の300億円キャンペーン後のLINE PayのMAU数を見てみましょう。

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LINE Pay 国内MAU数(2019年3Q).決算資料https://scdn.line-apps.com/stf/linecorp/ja/ir/all/FY19Q3_earnings_release_JP.pdfより参照)
300億円キャンペーンで獲得したユーザーの半数近くがその後利用していないことが分かります。多くが還元キャンペーン目的で利用していたというのと、LINE Pay側も離脱を防止出来なかったということですね。

auPayも、身の削り合いに参戦

ユーザー数が増えるものの、今後継続してくれるかもわからない、しかも利益を大きく落とす戦いにau Payは参戦してきたわけです。もちろん、今後QRコード決済事業者が統合されていくにつれ、手数料を取ったり取り扱う商品を増やすなどして収益化を狙っていくでしょうが、そこまでに体力が持つかどうか、ガチンコ勝負がまだまだ繰り広げられそうです。