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データから見るM-1 2019 しゃべくりvsコント 関西vs非関西の戦い


関西勢が席巻するM-1と、突如現る非関西系

M-1は2001年の中川家の優勝以来、『関西系』で『しゃべくり漫才』の王道が優勝する傾向にあります。その傾向は2019年のM-1でも見られました。審査員が付けた点数表を見ながら検証してみましょう。

平均点・標準偏差から見る2019年M-1

2019年のM-1の結果を表に落とし、各コンビの得点についてはヒートマップで色をつけてみました。

f:id:umejiro330:20191228140232p:plain

 コンビの得点での特徴を見てみると、

・ミルクボーイやかまいたち、ぺこぱは平均点が高く、標準偏差が小さい⇒すべての審査員から評価されていた ということが分かります。

・和牛は平均点は高いものの、標準偏差は大きい⇒一部の審査員からの評価が高いことが分かります。実際、上記表を見ればナイツ塙と志らくが付けた点数が高くなっていることが分かります。

審査員が付けた点数の特徴を見てみると、

上沼恵美子が平均点93.9点と他の審査員に比べ1点以上高い点数を付けているが、すゑひろがりずや和牛の評価が低い⇒すゑひろがりずに対しては「M-1の漫才ではない」、和牛に対しては「横柄な態度」と辛口コメントをしていましたね。

松本人志が付けた点数の標準偏差が、2019年のM-1で一番大きい⇒トップバッターのニューヨークの漫才がよっぽど気に入らなかった、というのもあるかもしれませんが、トップバッターの採点ということで基準が分からず、低めに付けてしまった、という可能性もあります。

記の表でも十分特徴を掴むことは出来るのですが、情報量が多すぎて見ずらいです。

そんな時には、主成分分析を用いて情報量を削減しましょう。

主成分分析で見る2019年M-1

上の表では、審査員7人分の採点に関する情報量が含まれており、一目では全員の特徴を見ることが出来ません。そこで、主成分分析を用いることで、情報量を保ちながらも、なるべく簡単に採点の傾向を見ることが出来ます。


f:id:umejiro330:20191228143719j:plain

2019年M-1 主成分分析の結果

 主成分分析の結果の見方についてですが、

横軸…各コンビの総合得点

縦軸…各審査員の好みの傾向 となります。

上記に基づき、表を見てみると、

・ミルクボーイやかまいたち、見取り図、和牛といった関西系の漫才師が右側に集まっている⇒関西勢の得点が高い(注1)

ミルクボーイやかまいたち、見取り図といったしゃべくり漫才が中心部に集まっている⇒審査員によってばらつきがない⇒安定している(注2)

という傾向が分かります。

(注1)ニューヨークやインディアンスも関西系ですが、ニューヨークに関しては一番手であるという点が、得点を低くしていると考えております。インディアンスに関しては、関西・非関西以外の要素が大きく絡んだ結果だと考えております。

(注2)すゑひろがりずも中心部に集まっておりますが、これは他のコンビと比べて漫才の軸が異なるため審査員が困惑し、点数が付けづらかったことが原因ではないかと考えております。また、オズワルドもしゃべくり漫才でしたが、非関西系です。

上記2つの傾向のいずれにも当てはまらないのが「ぺこぱ」です。彼らば標準語でコント漫才を行い、見事に3位に入賞しました。いわばM-1の定石を崩すコンビだったわけです。過去にはサンドウィッチマンやオードリーが同じパターンでM-1に出場し高得点を上げていますが、両者ともに現在もバラエティで活躍しています。

ぺこぱが活躍する日も近いかもしれません。

※参考:主成分分析のコード

#審査員の点数
v1<-c(87,91,90,88,88,82,90)
v2<-c(93,95,95,93,94,95,95)
v3<-c(92,96,96,91,93,92,92)
v4<-c(92,91,92,90,91,89,92)
v5<-c(93,90,89,90,93,91,94)
v6<-c(94,92,94,91,93,91,94)
v7<-c(97,99,97,97,96,97,98)
v8<-c(91,89,89,91,94,90,94)
v9<-c(92,89,87,90,92,88,94)
v10<-c(93,94,91,94,92,94,96)
M1<-as.data.frame(rbind(v1,v2,v3,v4,v5,v6,v7,v8,v9,v10))
colnames(M1)<-c("巨人","塙","志らく","富澤","礼二","松本","上沼")
rownames(M1)<-c("ニューヨーク","かまいたち","和牛","すゑひろがりず","からし蓮根","見取り図","ミルクボーイ","オズワルド","インディアンス","ぺこぱ")
pr<-prcomp(M1,scale=T)#主成分分析はこれだけ
devtools::install_github("vqv/ggbiplot")
library(ggbiplot)
print(ggbiplot(pr, obs.scale = 0.5, var.scale = 0.5,labels=rownames(M1),ellipse = TRUE, circle = TRUE))