原油先物大幅安 OPEC決裂なのに原油増産理由を考えます
最近のアメリカ株安はコロナよりもむしろ原油安によるものが強いとのことです。
コロナウィルスの感染拡大に伴い世界の原油需要が減少するとの見方が強まってきました。
それに伴い、OPECとOPEC非加盟国で構成される「OPECプラス」が対策を協議してきました。
そこでOPEC側(主導はサウジアラビア)が減産幅の拡大を訴えたのに対して、OPEC非加盟国であるロシアが減産幅を現行通り実施すると訴え、両者で折り合いがつかず決裂。
それによる不安感から原油先物に売りが殺到し、現在も40ドルを割る状態が続いています。
ところで、個人的に分からなかったのが、この会議終了後にサウジアラビアが増産を表明したことです。
需要減少の状態で増産をすれば価格は下がるのでサウジアラビア側に大きなメリットも無いはず。
需要減少局面での増産の狙いを見ます。
原油シェア1位はアメリカ
私が小・中学校の頃であれば考えられない話なのですが、今やアメリカが原油生産1位となっています。
理由は、2010年代からのシェールオイル増産に伴い原油生産を急拡大したためです。
これにより、産油国であるロシアやサウジアラビアを抜き、2019年には原油生産1位に躍り出ました。
アメリカがシェアを伸ばすのが面白くないロシア?
それに対して、シェアを奪われたロシア。面白いわけもありません。
「原油市場のシェアをアメリカのシェール企業に奪われるだけ。」
ロシアでは国内石油企業が減産の大幅拡大に対して反対を行ったため、今回の協議を見送ったとのこと。
決裂して方針転換のサウジアラビア
そこに、OPECのスイングプロデューサー(需給調整役)のサウジアラビアも続きました。
調整する役割を放棄し、自らもシェア拡大を狙う動きを見せたわけです。
これはサウジアラビアのお国事情も関係していると考えます。
サウジアラビアは世界最大の利益企業(そして国営企業)であるサウジアラムコを保有しているのですが、OPEC決裂後に株価が大きく下落。
これによりIPOでサウジアラムコを購入した個人投資家は含み損を抱えることになりました。
そこで、今後の海外展開を見通して拡大路線に踏み切ったのではないかと考えられています。
まとめ
アメリカの原油シェアがシェールオイルによって高まっています。
それをよく思わないロシアと、決裂して方針転換したサウジアラビア。
最終的にはロシアが折れると言われておりますが、引き続き動向を見守りたいと思います。