どんな経済下でも確実に利益を出せる?オール・シーズンズ戦略をご紹介
2月中旬より、コロナウィルスの影響でマーケットが大きく下落し、その後も乱高下を続けています。
特に、2月第4週のダウ下落率は12%で、これはリーマンショックやブラックマンデー・1929年の世界恐慌に匹敵する下落率だったそうです。
この下落を受けて、多くの投資家が株式を売却しました。
私もご多分に漏れずその中の一人で、マイクロソフトやVISA、マスターカードの株式を100万円ほど売却しました。(幸い、損失は出ておりません)
ちなみに、私は上記銘柄はキャピタルゲイン狙いで投資していたとはいえ、長期保有しても問題ないと思い購入したものです。
では、なぜ売却してしまったのか。それはあまりの価格変動の大きさで、自らの資産が減少することが怖くなったためです。
一般に人間が利益を得る・または損失を被る場合に取る行動理論として、「プロスペクト理論」というものがあります。
上記理論によれば、人間は収益よりも損失に目が行きがちで、損失が発生しそうな場合は損失回避的な利益確定に走ってしまうとのこと。上記理論は正しいと自らの身を以て感じました。
それでは損失回避を行わないためにどうすれば良かったのか?
それは損失が発生しないような資産配分で資産を保有しておけばよかったわけです。
そこで、コロナウィルス相場でも大きく価格を下落させることなく、リターンはS&P500にも劣らないポートフォリオ、いわゆる『オール・シーズンズ戦略』をご紹介します。
そして、リーマンショック以降のマーケット実績を基に、上記ポートフォリオがリターンは得られながらも、価格変動は小さいことをお示しします。
オール・シーズンズ戦略
オール・シーズンズ戦略を書く前に、オール・シーズンズ戦略の考案者について説明しておきましょう。
オール・シーズンズ戦略は、アメリカのヘッジファンドマネージャーであるレイ・ダリオ氏が考えた、個人投資家向けポートフォリオです。*1
レイ・ダリオ氏とは
レイ・ダリオ氏は1949年の生まれです。
ダリオ氏が成人した1970年代は1920年代以来の不況やニクソン・ショック、オイルショック・ベトナム戦争と激動の時代でした。
その中で証券会社に勤めていたダリオ氏は、多くの資産クラスの価格が乱高下する現場を目撃します。
それを見たダリオ氏は、マーケットには大儲けのチャンスがあるとともに、大損のリスクも孕んでいることに気づき、様々なシナリオと市場動向の関連性を理解することに努めました。
そして、上記の探求を続け、資産価格の変動は4つだけであると突き止めたのでした。
4つの資産価格変動要因
ダリオ氏によれば、資産価格変動の要因は下記4つとされています。
1インフレ
2デフレ
3経済成長
4経済下降
そして、上記4つのいずれが起こった時にも価格が上がるような商品のポートフォリオを事前に組んでおくわけです。それが、『オール・シーズンズ戦略』です。
オール・シーズンズ戦略
お待たせいたしました。『オール・シーズンズ戦略』のポートフォリオがこちらです。
見た印象だと、債券が多めで、株式が少なめですよね。これは株式による価格変動リスクを減らしているためと考えられます。
例えば、資産のポートフォリオとして株式50%:債券50%とすると、価格変動リスクは
株式95%:債券5%となります。
株式偏重はリスクを大きく高めるので、株式の割合を減らしているのです。
2007年〜2020年の実績はどう?
ポートフォリオが分かったところで、過去のマーケットでの実績を見てみましょう。
外国のサイト*2ですが、過去のマーケット実績から仮想的にオール・シーズンズ戦略の実績を見ることが出来ます。
前提条件
『オール・シーズンズ』戦略を実際に購入できるETFを基に組んでいきます。
ポートフォリオ1がオール・シーズンズ戦略です。
そして、ポートフォリオ2として、ベンチマークでVTI100%を置いてみました。
そして、その他の条件は
・初期投資額:1万ドル
・毎月の追加投資額:1,500ドル
・年に1回のリバランス
・分配金は再投資せず
です。
結果は?
結果は下記の通りです。
2013年以降の株高の影響もあり、最終的には
オールウェザー戦略:$527,271
VTI:$657,123
となりました。
しかしながら、それより前の2007年〜2013年においてはVTIを上振れていたので、株式不調局面で効果を発揮すると言えるでしょう。
また、年度別のリターンを見てみましょう。
驚くことに、リーマンショックがあった2008年にもプラスのリターンを上げられています。
ちなみに、2020年のコロナショックでもプラスです。
このように、価格の上下変動を抑えながらもリターンを狙えるのがこのポートフォリオの強みです。
まとめ
どんな経済下でも確実に利益を出せる(?)かもしれないポートフォリオを紹介しました。
あなたも参考にされてはいかがでしょうか?
本内容は、下記の書籍に基づくものです。
詳しく読みたい方はこちらからどうぞ。
ところで、『こんなポートフォリオがあるなら、ETFでも出してくれれば良いのに』と思われた方がいらっしゃったかもしれません。
そこで、次回は、レイ・ダリオ氏の考えに基づき作成されたETF『RPAR』について取り上げます。