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2020年箱根駅伝ランナーのシューズとその影響

ヴェイパーフライの衝撃

今年の箱根駅伝では区間新記録ラッシュが起こり、その要因がランナーがはいているシューズによるものではないか、という話があります。
toyokeizai.net
果たして、今年の箱根駅伝はどのようなシューズが履かれていたのでしょうか。
run552.com
上記でシューズ一覧を纏めてくださっているサイトがあったため、このデータを使用し、大学別のシューズ一覧を可視化してみます。
f:id:umejiro330:20200105183838j:plain
毎度のこと、画像が小さくなってしまっているのですが…ほとんどが同じ色(=同じシューズ)で占められていることが分かります。ナイキのヴェイパーフライシリーズです。

研究論文を読む

ヴェイパーフライについては色々記事になっているのですが、折角なのでヴェイパーフライのプロトタイプが作成されたときの研究論文を見てみたいと思います。
link.springer.com
論文の要旨を纏めると
・フルマラソンが2時間切れるかもしれないシューズが出来た
・過去のシューズと比べて、4%ほど走る際のエネルギー消費量が小さくなっている
・理論値では、4%エネルギー消費量が小さくなれば、3.4%タイムが早くなる*1
ということでした。
エネルギー消費量と速度の関係がよく分からなかったのですが、上記で引用されている論文*2を読んでみると、
・走る速度は、runnning economy、すなわち酸素摂取量=エネルギー消費量だけで説明することが出来る
エネルギー消費量と速度の関係は線形比例(空気抵抗などがない場合)
としっかり記載がありました。
箱根選手は、理論に裏付けられたシューズを履いていたわけですね。

思い出される、高速水着レーザー・レーサー

ヴェイパーフライを履いて走った選手が好記録を出すのは、何も箱根に限った話ではなく、世界中のマラソン大会で起こっていることのようで、国際陸連がこのシューズに対する調査を行っているようです。
このニュースを見て、私は水泳であった「レーザー・レーサー」の規制を思い出しました。
今から約10年前(北京オリンピック前後)、レーザー・レーサーを着た水泳選手が皆こぞって世界新記録を樹立したため、規制がかけられることになったのです。
「ヴェイパーフライ」は「レーザー・レーサー」になってしまうのか、注目していきたいです。

参考:プロット図の作成方法
library(rvest)
table<-read_html("https://run552.com/marathon/2964/")
table20<-as.data.frame(html_table(table))
library(XLConnect)
xlcEdit(table20)#大学名、シューズ名を一部修正しました
library(ggplot2)
library(esquisse)#最強の可視化ツール、ぜひともお試しください
esquisser(table20)
ggplot(table20) +
 aes(x = 大学, y = 区間, fill = シューズ) +
 geom_tile(size = 1L) +
 scale_fill_hue() +
 labs(x = "大学名", y = "区間", title = "箱根駅伝のシューズ 区間・大学別", fill = "シューズ名") 

*1:論文内に記載のある酸素摂取量と速度の関係式VO2 (mL O2/kg/min) = 5.7 + 9.8158 V + 0.0537 V^3から導けます。

*2:How Biomechanical Improvements in Running Economy Could Break the 2-hour Marathon Barrier,2017